第五十一候 蟋蟀在戸

  この明るさのなかへ
  ひとつの素朴な琴をおけば
  秋の美しさに耐へかね
  琴はしづかに鳴りいだすだらう
            八木重吉
 
b0314743_02445943.jpg


〜蟋蟀在戸(きりぎりす とに あり)〜




「蟋蟀(こおろぎ)」と書いて「キリギリス」と読むのですが、その実体は「ツヅレサセコオロギ」とのことです。
えっと…結局はコオロギのことでいいのでしょうか。
ツヅレサセ=「綴れ刺せ」という漢字を当てるそうです。昔の人は、「着物の繕いものをしろ。冬が来るぞ」と急かす声だと聞きなしたのですね。
翡翠のようなキリギリスは、夏の終わりに「スイ~ッチョン」と鳴きます。
夜に涼しさが混じる頃。
今はもう、涼しさを通り越して寒いくらいです。
朝晩にはストーブを使っています。

海の旬はカマス、鯖などなど。
山の旬はチンゲンサイ、柿などなど。
柿、どんなに甘くても、どこかに渋みが残っている気がします。
私が子供の頃は、お庭で取れた柿を分けて下さる方がいらっしゃいました。
小粒だけれど毎年甘いのです。
喜んで食べていると、時々、イジワルのように渋柿が混じっています。
口の中がギューッと絞り上げられるような渋さ。
こんな渋柿も、干せば甘くなるのですから不思議ですね。
山間の村に行くと、オレンジ色の柿がいっぱいに実って枝を撓らせている木をたくさん見かけます。
お年寄り世帯が増えて、柿の収穫ができないのだそうです。
その柿を狙って猿や熊がやって来るので、住民にとっても行政にとっても頭が痛い問題なのです。
山村で枝いっぱいの柿の木を見ると、ちょっと切なくなります。


この季節になると、八木重吉の大好きな詩が思い浮かびます。
よし、これをヒントに作り話を…と思ったのですが、夜明け近くまで考えても膨らみませんでした。。
こんなシンプルな言葉だけで、尊いくらいに美しい秋の陽射しを表現してしまうなんて…。
陳腐な作り話は(当たり前だけれど)太刀打ちできません。
うぅ。。


次回は10月23日「霜始降」に更新します。
その前に霜が降りそうですが。

[PR]
by bowww | 2014-10-18 10:12 | 七十二候 | Comments(2)
Commented by 高橋 at 2014-10-18 18:35 x
柿…。
実家には柿の木が三本ありまして(昔は四本)。
四本の頃は甘柿、甘柿、渋柿、渋柿…といった顔ぶれでしたが、不思議なモノです。同じ庭の甘柿なのに甘さが違う!渋柿は干し柿にするため収穫しますが、二~三個残します。
欲張って全部採ってはいけない。
来年も実るように。
冬の野鳥にも食べ物を残してあげる。
様々な理由から、チョッとだけ残していました。
ただ、甘柿は食べきれず、毎年毎年、庭にボタボタと…。

今月は車検があるので、夏の間はキリギリスの様に貯えていたのですが、車屋さんから連絡がありビックリしました!!
貯え分が綺麗サッパリ無くなる模様…。
まぁ前回よりも安いのですが、あぁ…旧車を乗るには、覚悟が必要ですね(´д`|||)
Commented by bowww at 2014-10-18 22:17
高橋さま。

同じ場所で育った木たちなのに、どうしてそれぞれ個性が出てくるんでしょうね。
不思議。
干し柿、干してる途中で揉んであげると柔らかくなるそうですね。
我が家でも、お遊び程度に吊るしてみる年があるのですが、なかなか上手に仕上がりません。
出荷する干し柿は、硫黄で薫製(というのかしら?燻蒸?)にして美しい橙色を保たせるみたいですね。
両親は庭に来る小鳥たちのために、リンゴやパン屑を置いているようです。

車検…。
私もつい2、3日前に終えました。
請求書を見て、覚悟していたとは言え、アイタタタ…という金額。。
10年は乗っている車なので、ま、仕方がないのですが。
車は、地方では生活必需品なのですが、維持費が大変ですよね…。


<< 第五十二候 霜始降 第五十候 菊花開 >>