第三十六候 大雨時行

 のっぴきならない事態。


b0314743_01263893.jpg

~大雨時行(たいう ときどきに ふる)~






我が家は昔、小さな薬屋さんでした。
会社勤めが嫌だと駄々をこねた父が、脱サラして始めた店です。
近所のおじいさんおばあさんが歩いてやって来て、「にいさん、足が痛いだがせ」「風邪ひいて咳が止まらないだわ」と薬を買ってくれました。
私と弟の学校が夏休みになっても、お店は休めません。
家計はいつも火の車ですから、家族旅行なんてもちろん無理。
ディスニーランドに行く友人たちが羨ましくて仕方がありませんでした。
夏休みの思い出と言えば、寝惚けた顔のままで参加した朝のラジオ体操。
灼けたアスファルトの上を歩いて通った学校のプール。
髪に塩素の匂いをまとわりつかせて家に帰れば、冷えたスイカがおやつに待っています。
暑さに耐えかねた父が庭に水を撒くと、土と芝生(ほぼ雑草化していました)の匂いが立ちます。
入道雲が怖いくらいに大きく伸び上がって、まるで水撒きが終わったのを見計らったかのように大粒の雨がパタパタと降り出します。
一日の熱を一気に冷ましてくれる夕立ち。
…案外、大人になって鮮やかに思い出すのは、遊園地のキラキラしたパレードよりも、水撒きのホースの先にできた小さな虹や、雨の匂いだったりするんじゃないかしら。
…と、ビンボー人は負け惜しみを言ってみたりするのです。

今日は旧暦の七夕です。
7月の七夕よりも、星が綺麗に見えます。
織姫彦星も無事に会えるでしょうか。
暦の上では夏の終わり、晩夏です。
夏の果て。秋の隣。
実際は、まだまだ暑い日が続きますよね。
海の旬は穴子、太刀魚などなど。
鰻と穴子を比べると、僅差で穴子が好きかも。お寿司の詰め合わせでは、必ず最後まで取って置きます(〆はイクラとどちらにしようか、真剣に迷う)。
初めて白焼きを食べたときはジンワリ感動しました。
山の旬はキュウリ、トマト、スイカなどなど。
キュウリは一年中出回っていますが、やはり露地栽培の採りたてキュウリのみずみずしさはたまりません。
甘くて爽やかに青くさくて、夏を丸ごと齧っている感じ。

今回で36回目、七十二候に添って更新すると決めているので、ちょうど折り返し地点です(その割には、今回の作り話の部分があまりに手抜きでしたが。。)。
飽きっぽいくせによくぞ続いた、と自分で自分を褒めてやりたい。
残り36回も、ヨロヨロと更新していきたいと思います。


次回は8月7日「涼風至」に更新します。


[PR]
by bowww | 2014-08-02 09:28 | 七十二候 | Comments(0)


<< 第三十七候 涼風至 第三十五候 土潤溽暑 >>