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花酔い(穀雨)

 同僚たちと、仕事帰りに夜桜見物へと繰り出した。
 小学校と公園が道を挟んで向かい合わせにある通りは、双方の桜並木が競い合うように満開で、街灯に照らされた艶姿に歓声が上がる。
 けれど、寒い。
 昼間の暖かさに気を許し、薄いコートのまま出掛けてきてしまった。
 桜見物もそこそこに、結局は皆でいつもの居酒屋になだれ込んだ。

 楽しい酒につい羽目を外し、店を出た頃には夜もだいぶ更けていた。
 火照った頬に、冷え冷えとした夜気が心地好い。
 同僚たちと別れ酔いに任せて、人気(ひとけ)が絶えた桜の通りを一人で歩く。
 見上げれば、白々と照る豪奢な花天井。
「贅沢な花見だよな」と思わず頬が緩む。
 視界の隅に、何かが動く気配を捉えて足を止めた。
 ……あれ?子供?小学生?
 今度は頬が強張る。
 数歩先の一際大きな桜の木の下に、子供が二人、立っている。
 こんな夜更けにこんな場所に、子供なんか居るはずがない。
 だとすれば、あれか?この世の者じゃない類いの、あれか?
 酔いは吹っ飛んで、血の気が音を立てて引いていく。
 気づけばもう知らぬふりはできないほど、二人のすぐ近くに居た。
 恐る恐る目を遣る。
 男の子だ。足は一対ずつ、ちゃんとある。
 ようやく大人としての責任を思い出し、「君たちどうしたの?」と声を掛けた。
 二人は、飛び上がって驚いた。
「…このおじさん、僕らが見えるみたいだね」
「酔っ払いだからかな」
「じゃあ、明日には忘れるね」
「うん、忘れるね」
 双子だろうか、そっくりの顔かたちだ。
 額を寄せ合ってひそひそと、なかなか失礼なことを話している。
 一つ咳払いをしてから、もう一度訊く。
「何をしてるの?お家に帰らなきゃ駄目だよ、危ないよ」
 二人は顔を見合わせて、肩をすくめた。
「僕たち、仕事中なんだ」
「おじさんこそ、足元危ないよ」
 それだけ言うと右の男の子は、桜の枝に手を掛けてそっと揺さぶった。
 左の男の子は、一抱えもあるような白磁の壷を、その枝の下に差し伸べた。
「ねぇねぇ、本当に何をしてるの?仕事って何?」
 二人は、うんざりといったふうにこちらを振り返った。
「あのね、おじさん、僕たち忙しいんだ」
「おじさん、早く帰りなよ」
「教えてくれるまで帰らないよ。それに、まだおじさんじゃない」
 二人は同時にため息をついた。
「…どうせ、忘れちゃうだろうから、」
「教えてやって、さっさと帰ってもらおう」
「こんな酒臭いのが側にいて、」
「匂いが移ったら台無しだしね」
 本当に失礼な子供たちだ。

  桜の香りを集めて
  壷に集めて
  お酒を造るんだ
  佐保姫様のお酒を造るんだ
  夜露に濡れた桜の花は
  夜風に冷えた桜の花は
  香りを凝らせて
  色香を凝らせて
  上等なお酒になるんだよ
  とびきりのお酒になるんだよ

 よく見れば、白磁の壷に淡く淡く桜色が滲んでいる。
 喉がごくりと鳴った。
「だめだよ!おじさんにはあげられない」
「…待って」
 壷を隠す男の子を、もう一人が止めて耳打ちした。
 二人は小声で話し合ってから頷いた。
 壷が差し出される。
「ちょっとだけ、」
「飲んでみる?」
 受け止めた壷はひんやりと冷たい。
 再び、喉がごくりと鳴った。


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もうとっくに桜の季節が終わった場所も多いでしょうが、私の住む辺りはようやく散り際です。
飢えたように桜を追いかける季節が終わります。
寂しいような、ホッとしたような…。
2枚目の写真は、サングラス越しの夕日の桜です。いたずらしました。
桜の写真、明日も更新させてください。



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by bowww | 2017-04-20 16:17 | 作り話 | Comments(2)

穀雨

「ここに来れば、会えると聞いたんですよ」
 初老と呼ぶにはまだ早いでしょうか。
 霜降りグレーのハイネックのシャツに、紺色のカーディガンを柔らかく羽織った男性です。
 人懐こい大きな瞳と快活な声の持ち主です。
 私は泉の周りの枯れ葉を寄せ集めていましたが、彼の声が気持ち良かったので手を止めて答えました。
「…どうでしょう、こればかりは運のようなものでして…」
 男性は落胆して、そのまま泉のほとりにしゃがみ込みました。
「遠くからおいでですか?」
 とても疲れている様子なのに、それでも笑みを浮かべて男性は頷きました。
「どなたとお会いするおつもりでした?」
「妻と」
 笑みが一段と深くなりました。
 私は桜の枝で作ったコップで泉の水を汲み、男性に渡しました。
「さぞかしお疲れでしょう。喉も渇いておいででしょう」
 男性は両手で受け取ると、一気に飲み干します。
「うまい。うまいなぁ」
 瞳の輝きが戻りました。
「おや、水仙がこんなに…」
 やっと人心地がついたのか、男性は辺りを見回し感嘆の声を上げました。
 滾々と湧く泉を覗き込むように、数多の金色の水仙が風に揺れています。
 柔らかな光が、薄い花弁の上でさんざめきます。
「見事なものですね。彼女に見せてやりたい。花見なんて連れて行ってやったことがないんですよ」
「お忙しかったんですね」
「好き勝手やらせてもらいました。妻のおかげです」
 水仙の金色が眩しいとでも言うように、男性は目を細めました。
「これから恩返しするつもりだったんですよ。…そんなこと言えばきっと、『あなたの“つもり”なんて、あてにできません』って叱られるだろうなぁ」
 男性は泉を覗き込みました。
 風が少しだけ強く吹きました。水面に細波が広がります。
「天気が崩れるのかな。
…彼女、夜の風が嫌いなんです。ザワザワして不安になるんだって。今夜は静かな夜だといいんだけど…。
そうだそうだ、キッチンの窓がガタつくから直してくれと言われてたんだった。テラスの掃除もしなきゃいけなかったなぁ」
 清水が湧く音以外、何も聞こえてきません。ここはとても静かなのです。
 私は自分の仕事に戻りました。男性の取りとめない独り言と、落ち葉を片付ける乾いた音が響きます。
「待っていれば会えますか?」
「はい。いつかは必ず会えるということです」
「それで、あなたは会えたんですか?」
 私はそっと首を横に振りました。
 私には会いたい人がいないので。
「…おっ!」
 男性は泉に身を乗り出しました。愛しい人の影がよぎったのでしょう。
 一瞬のことなのです。
「…ここで待たせてもらってもいいでしょうか」
「どうぞどうぞ。ごゆっくりなさってください」
 彼は私を振り返って、嬉しそうに微笑みました。

 白い水仙が一輪、仲間入りしました。
 泉を覗き込むように咲いています。
 幸い風は止み、でも、銀の絹糸のような雨が降り出しました。
 あたたかな雨が木立の梢を濡らし、葉や花をつややかに湿らせ、乾いた地に沁み込んでいきます。
 やがてこの雨は地の奥深くを巡って、何処かの泉に湧き出るのでしょう。
 今はとてもとても静かです。



穀雨=4月20日〜5月4日頃
初候・葭始生(あしはじめてしょうず)次候・霜止出苗(しもやんでなえいずる)末候・牡丹華(ぼたんはなさく)


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桜が満開になるちょっと前に、とても大切な方が突然、居なくなってしまいました。
つっかえ棒を一本、取り上げられてしまった気持ちです。
残されたご家族やご友人の皆さまのお気持ちを想像するだけで、息が苦しくなります。
人生や大切な人たちを、とてもとても愛された方でした。
あまりに急なことでしたから、きっとご本人が一番、びっくりされているんじゃないかな。
叶うことなら、もう一度お会いしてお喋りしたい。
会いたいなぁ。


次回は5月5日「立夏」に更新します。
 
 


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by bowww | 2016-04-20 10:26 | 作り話

第十八候 牡丹華

 同窓会の会場に、佐野香津美の姿はなかった。
「久しぶり〜!」
「変わらないねぇ、梓!」
 当時の仲良しグループの子たちが集まって、華やいだ声を上げる。
 高校を卒業して十五年、初めての同級会だ。
 担任だった先生が定年退職を迎え、お礼の会を兼ねて皆で集まることになった。
 三十歳を越えれば、それぞれが仕事を持ち、家庭を持ち、それなりの顔つきになっている。早くもおじさん化しつつある男子、ママさんらしい柔らかい表情を見せる女子。
 佐野さんは、どんな人になっているんだろう。
 記憶の中の彼女に、過ぎた時間を重ねてみる。

 

 教室の窓の外の桜が、すっかり葉桜になっていた。
 午後の授業は眠たい。
 英語の先生の声が間遠に聞こえる。
 誰かが当てられて、教科書の例文を読むように指示された。
 当てられた生徒が立ち上がった。
 初めは歌を歌っているのかと思った。
 日本人離れした発音で、淀みなく読み上げる。
 低いけれどよく透る声。
 読み終えて席に座ると、教室全体が少しざわめいた。
 斜め前の席に座る彼女の髪に、木漏れ日が映る。
 少し俯いた頬と、髪の隙間から見える耳たぶが赤い。

 佐野さんは、英語の授業以外ではほとんど目立たない。
 私の周りはいつもガヤガヤソワソワしているのに、彼女にはシンと静まった空気が取り巻いていた。
 一人で行動することも苦ではないように見える。
 常に誰かと一緒にいないと不安になる私にとっては新鮮な驚きだった。
 もっと話をしてみたいと思っても、とっかかりがない。共通の話題が思い浮かばない。
 友人たちとふざけながら、視界の隅には必ず佐野さんが居た。
 歯がゆいような気持ちで、一年はあっという間に過ぎた。

 ただ単純に、ピアノを弾く佐野さんを見てみたかったのだ。
 合唱祭での伴奏を頼むと、ぴしゃりと断られた。
 近づきたいと差し伸べた手が行き場をなくす。
 友達たちとお喋りをする気にもなれず、一人で大好きな桜の木がある中庭に向かった。
 満開。
 梢まで花が咲き満ち、表面張力のように張りつめ、僅かな風に花びらを零す。
 その花の下に、佐野さんがいた。
 背中に流れる髪に、桜の花びらが一枚、舞い落ちる。
 声を掛けるのをためらい、しばらく佐野さんの後ろ姿を見守る。
 きれいな人なのだと、初めて気が付く。

 結局、佐野さんは伴奏を引き受けてくれた。
 淡々と合唱の練習に付き合ってピアノを弾き、終わると「このパートは男子の声を抑えた方がバランスいいかも」「出だし、少しリズムが遅れるみたい」などとそっと私に伝えてくれた。
 私は楽譜を指し示す細い指を見つめながら、相槌を打った。
 桜貝みたいな爪だと言ったら、佐野さんはどんな顔をするのだろう。



 アルコールが入って、会場は賑やかさを増した。
「佐野って覚えてる?佐野香津美」という声が聞こえたから、思わず聞き耳を立てた。男子たちが噂話をしている。
「さの?…さの…。ああ!居たな、いつも本を読んでた地味な子だろ?」
「それがさ、この前、偶然見かけたんだけど、すっげえきれいになってた」
「へぇ、女は化けるよな」
「いや、化粧や服装とかじゃなくてさ…」
 ふん、今ごろ気づいたか。
 私はなんとなく誇らしい気持ちで、その場を離れた。

    燭(ともしび)を背けては共に憐れむ深夜の月
    花を踏んでは同じく惜しむ少年の春      白居易



〜牡丹華(ぼたん はな さく)〜



行く春を惜しんで桜の残像。
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立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、と。
美人の形容詞ですけれど、ゴージャス過ぎて噎せ返るようです。
牡丹は、近づいて見ると花びらの一枚一枚が透き通っていて美しいです。
百花繚乱、春は酣。
牡丹の花が崩れるように散って、季節は夏へと移っていきます。
山の旬は蕗、クレソン、こごみなどなど。
海の旬はサザエ、アイナメなどなど。
5月2日は八十八夜。新茶の頃ですね。
私は毎年、年に一度の贅沢とばかりに、福岡県の八女の新茶を取り寄せます。
…「年に一度の贅沢」は、サクランボとか鰹の叩きとか、それぞれあるんですけれども。
新茶は早緑の香りを頂くようなものですね。
ニッポン万歳。
と言いたくなる味です。

ほぼ一ヶ月ぶりの雨です。
慈雨になりますように。
次回は5月5日「蛙始鳴」に更新します。
立夏ですね。


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by bowww | 2014-04-30 09:37 | 七十二候 | Comments(2)

第十七候 霜止出苗

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 学校は水族館みたいだ。
 隣り合う水槽が見える。でも、決して境界が崩れることはない。
 透明だけれど、とても頑丈なガラスの水槽。
 それぞれがそれぞれの水槽の中を、ふわふわと漂っている。


 春休みが明けると、倉科さんが髪を短く切って緩くパーマをかけてきた。髪の色もワントーン明るくなっている。
 彫りの深い目鼻立ちの彼女によく似合っていた。
 うちの学校は校則があまり厳しくないが、さすがに担任の先生も見過ごすわけにはいかなかったらしい。
 ホームルームが終わると、倉科さんは教室の外に呼び出され、事情聴取を受けていた。
「寝癖です。明日には直っているかも知れません」
 にっこり笑って答える彼女に、担任も思わず苦笑いする。
 あの笑顔に勝てる人は、そうはいないだろう。
 やっぱり美人は得なんだと、私は改めて思い知らされる。

「梓、反抗期?ぐれちゃった?」
「すっごく可愛い!」
 昼休み、倉科さんのグループはひと際にぎやかだった。
 倉科さんの周りには、自然と人が集まる。
 さばさばしていて面倒見がいい。美人でスタイルもいい。
 男子からはもちろんだが、女子にも人気があった。
 倉科さんたちが色鮮やかな熱帯魚だとすれば、深海コーナーの水槽の隅っこで丸まっているアンコウが私だろうか。
 棲んでいる世界が違いすぎる。

 夏休みの前に、クラス対抗の合唱祭がある。
 倉科さんがリーダーになって歌う曲を決め、練習を始めた。
「練習なんか、かったりぃよ」と文句を言う男子も、倉科さんが音頭を取るとなると素直に従う。
 私は集団行動が苦手なのだと思う。「皆で頑張ろう」と言われれば言われるほど、憂鬱になる。かと言って、正面切って異を唱える度胸もない。ぐずぐずと煮え切らない気持ちのまま、練習に参加していた。
「佐野さん、伴奏をお願いできないかな」
 放課後の練習が終わって帰ろうとしたところで、倉科さんにつかまった。
「…伴奏?」
「そう。理香が『香津美ちゃん、ピアノ上手なんだよ』って教えてくれたんだ」
 お喋りな理香に舌打ちしたい気分だった。
 ピアノを熱心に弾いていたのは中学生のころまでだ。同じ学校だった理香はそれを覚えていたのだろう。
「今は全然弾いてないから、とてもじゃないけど自信ない」
「大丈夫!弾けば思い出せるって!」
 きらきらの笑顔。
「無理だってば。勝手に決めないでよ」
 思わずきつい言葉が出た。
 倉科さんのきれいな顔が曇った。
「…そか、ごめん」
 私は鞄をひっつかんで、彼女の顔も見ずに教室から逃げ出した。
 深海から引きずり出されたアンコウの気持ちだ。
 太陽の光に面食らって、ぐずぐず崩れてしまいそうだ。

 季節はこちらの気持ちにおかまいなく進む。
 校庭の桜が満開になったのは、倉科さんに声を掛けられた一週間後だった。
 グラウンドをぐるりと取り囲む桜も見事だが、私は旧校舎の中庭にある桜の枝振りが好きだった。四方にゆったりと太い枝を広げて、下に立つと花に包み込まれるようだ。
 放課後になれば人気(ひとけ)も途絶える庭で、こっそり桜を眺めるのが楽しみになっていた。
 花天井を見上げていると、誰かに呼ばれた。
 振り向くと、倉科さんが立っていた。
 風に舞う桜の花びらが西日を受けて光る。
 倉科さんは何も言わずに隣に来て、そのまま桜を見上げた。
 私も黙ったまま、桜を見上げた。
 徐々に光は弱まり、花が仄白く暮れ残る。
「佐野さんのピアノを聴いてみたかったの」
 倉科さんがぽつんと呟いた。
「…練習してみる」
 倉科さんはふわっと微笑んだ。


 学校は水族館みたいだ。
 ただ、思っていたより水槽は大きくて、熱帯魚も深海魚もなんとなく共存できるらしい。
 きらきらの笑顔に面食らっているうちに、私は結局、伴奏を引き受けてしまった。




〜霜止出苗(しも やんで なえ いずる)〜




「霜止んで…」とはいうけれど、私の住む辺りでは、まだまだ油断できません。
昨年はリンゴの花が咲く頃に遅霜が降りて、大きな被害が出ました。果樹は花の時期に霜にやられると、実らなくなるのです。
都市化が進んで農家さんも減っているとはいえ、いまだに農業が盛んな土地柄。農作物に被害が出ると、地域全体の元気がなくなってしまうので、今年はどうか無事でありますように。
田んぼに水が張られ始めました。ゴールデンウィークは田植えの季節です。
暦の上では春ですが、初夏の気配が紛れ込むのです。
海の旬はイカナゴ、ヤリイカなどなど。
山の旬はたらの芽、山椒などなど。

作り話は、行く春を惜しむということで桜。
…単に桜の話を書きたかっただけです。
桜を見ると、少しでも気の利いたことを言いたくなるのは、何の見栄でしょうか。
次回は4月30日「牡丹華」に更新します。
…牡丹ですけれど、作り話は桜の予定。
しつこいですね。。
 
 


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by bowww | 2014-04-25 11:41 | 七十二候 | Comments(0)

第十六候 葭始生

 せせらぎ。
 木漏れ日が水面で跳ねる。
 水草が揺れる。
 鳥が鳴く。
 草の匂い。

 少女の歌声。

 流れゆくオフィーリアに、
 捧げる花を摘んでおこう。



〜葭始生(あし はじめて しょうず)〜

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二十四節気では穀雨です。
大地を潤し、万物を育む雨が降る季節。
お日さまの陽射しが嬉しい季節ですが、優しい雨が降った翌日は、芽吹いたばかりの緑がひと際きれいです。
葭の芽吹きを「角(つの)ぐむ」と表現します。
去年の枯れた葭の根元から、早緑の芽がツンツンと見え隠れしている様なのでしょうか(実際に見たことがなくて…)。
若芽を「葦牙(あしかび)」とも言うそうです。
海の旬はメバル、鯵などなど。
山の旬は、新ゴボウなどなど。そろそろ筍も出回り始めます。


先月、東京で観てきた「ラファエル前派展」の中でも、やはりミレイの「オフィーリア」は、特に魅力的な一枚でした。
シェイクスピアの戯曲「ハムレット」。主人公・ハムレット王子の恋人のオフィーリアは王子の豹変ぶり(=復習のために狂人のふりをしていた)に心を痛めます。その上、王子に自分の父親を殺害されるという悲劇にも見舞われ、とうとう気が狂ってしまうのです。
野の花を摘んでいるときに足を滑らせて川に落ち、歌いながら溺死していくという…。
ミレイは、オフィーリアの最期を描いています。
絵の前に立つと、オフィーリアの切れ切れの歌声が聞こえてきそうでした。


次回は4月25日「霜止出苗」に更新します。
春が終わる前に、今年の桜をまとめてみたいと思ってはいるのですけれども…。





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by bowww | 2014-04-20 09:45 | 七十二候 | Comments(2)