<   2016年 10月 ( 4 )   > この月の画像一覧

空、広々と。

遮るものなく広い広い空です。
夕暮れ時の空を独り占め。
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すっかり日没が早くなりました。
この後、日が沈んだ場所からちょっとだけ南に、一番星が見えました。
素朴な歌を思い出します。

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これだけ晴れたから、きっと明日の朝は冷え込みますね。
いつもより早めに布団に潜り込もうと思います。

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by bowww | 2016-10-30 22:01 | 身辺雑記 | Comments(2)

晩秋の大きな木(霜降)

 うたた寝から覚めると、電車は山間(やまあい)の村を走っていた。
 身じろぎもせず眠っていたらしい。節々が強張っている気がして、堅いシートの上でそっと体を伸ばす。
 四人掛けのボックス席の向かい側には、いつの間にか一人のおばあさんが、ちんまりと座っていた。
 昔の着物を仕立て直したらしい藍染め絣のコートに、白髪のまとめ髪がよく映える。
 車内は秋の陽射しがたっぷり入って暖かい。私と交代のように、今度はおばあさんがうとうとし始めた。
 乗客は少ないのに、おばあさんは律儀に自分の荷物を膝の上に乗せている。
 花柄の買い物袋から、真っ赤な林檎と黄色いビスケットの缶が覗いていた。
 窓の外には、僅かな平地を細々と区切った刈田が見える。早くも暮れようとする西日が、東の山の斜面を照らす。金色に色づき始めた山肌は、少しでも多く温もりを抱え込むように明るかった。
 大きなカーブに差し掛かったのか、電車が大きく傾く。
 おばあさんの荷物が崩れかけ、思わず手を伸ばして支えた。
「…あらあらまぁまぁ、どうもすみません」
 おばあさんは歌うような調子でそう言った。
 私は姿勢を戻して、笑顔を返す。
 アナウンスが次の駅の名を告げると、おばあさんは降りる準備を始めた。
 間もなく、電車は小さな駅に止まった。
ホームだけがやけに長く、待合室しかないような駅舎は私たちが乗った車両よりもずっと後ろにあった。
 おばあさんは立ち上がって、袋からビスケットの缶を取り出した。
「ほい、おやつ」
 私の膝にトンと乗せて、思っていたよりずっと達者な足取りで電車を降りた。
 断る間もお礼を言う間も与えない、絶妙のタイミング。与え慣れている達人の間合いだ。
 動き出した電車の窓から、小高い場所にある数軒の家が見えた。
 大きなケヤキの木が三本、集落を守るように立っている。
 おばあさんの家が、あそこにあるような気がしてならない。
 黄色の缶には、胡桃を齧る栗鼠の絵が描かれている。

   帰るのはそこ晩秋の大きな木 坪内稔典

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お天気、すっきりしません。
こうも曇り空が多いと、能天気な人間もちょっと塞ぎがちになります。
少し仕事が立て込んでいるせいもあって、職場でついイライラと喧嘩っ早くなります。
いけないいけない。
「なんだろ、何が足りてないんだろ、私。カルシウム?イソフラボン?」という呟きを聴き取った上司に一言、「酒だろ?」と返されました。。
そこまでアルコールに依存してはおりませぬ。
いずれにしても、私に一番足りていないものは辛抱だと思います。
そんな私を哀れに思ったのか、それとも祟られないようにというお供え物のつもりなのか、同僚が「ほれ」とキャラメルを一箱くれました。季節限定「和栗」キャラメル。
キャラメル舐めて一息ついて、どうかもう少し穏やかな人になれますように。

写真の大きな木はブナの木。
大きな木のそばに立つと、何やら嬉しくなってニコニコしてしまいます。
見上げるだけで気持ちがスカッとします。
お天気が良くなったら、木に会いに行こう。

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ぐっと冷え込むようになりました。
「火恋し」という季語もあるそうです。
そろそろ暖房が欲しい。と同時に、人恋しい気持ちも含まれているのでしょうね。
体も心も寒さに負けないようにしなくては。

※パソコンからの投稿が出来なくなっているのでしょうか?やむなくスマホから投稿。
見辛い箇所がありましたらご容赦くださいませ。
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by bowww | 2016-10-23 22:40 | 身辺雑記 | Comments(0)

秋の月

昼間は雲一つない晴天。
夜は冴え冴えとした月明かり。
こんなに気持ちのよい週末は本当に久しぶりでした。
旧暦九月の十三夜は「後の月」。
栗名月、豆名月と呼ばれるそうですね。
この月は、もうちょびっと太った十四夜。
でも、満月よりはほんのちょびっと痩せてる小望月です。
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実際はこんな風に見えました。

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数ヶ月前、勤務先近くのガソリンスタンドで給油しようと立ち寄ったら、店員のお兄さんが、
「もしかしたらマフラーに穴が空いてるかもしれません。そういう音がします。放っておくと、最悪、走っている最中にマフラーが落ちるかも…」と教えてくれました。
慌てていつもお世話になっている工場に車を見てもらったところ、お兄さんが言った通りでした。
マフラー1本を替えてもらって思いがけない大きな出費になりましたが、もうすぐ走行距離10万キロの老体なので、メンテナンスは仕方がありません。
大事になる前で良かったです。
今日、そのガソリンスタンドに寄ったら、教えてくれたお兄さんが居たのでお礼を言うことができました。
「それは良かったです!」と、お兄さんがとても嬉しそうに笑ってくれたので、こちらまで良い気分になりました。
毎日の仕事の中で、誰かから感謝してもらったり労ってもらったりすると、それだけでちょっと報われた気持ちになります。
お兄さんもお仕事帰りに、「疲れたけど、ちょっとだけ良いことあったな」と思ってくれているといいなぁ。
少なくとも私は、ちょっと良い気分で晩酌できました。
ちょっとずつ、ちょっとずつ。
良い気分貯金。



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by bowww | 2016-10-16 23:43 | 身辺雑記 | Comments(0)

花野かな(寒露)

 ともに行く人はいない。
 この広野に、延々と伸びる道を一人で行くのだという。
 どこに辿り着くのか、教えてくれる人もいない。
 途方に暮れながら、足を踏み出す。

 どれぐらい歩いたのか。
 控えめな華やぎにふと気がつき、立ち止まり、野を見晴るかす。
 乾いた草の匂いが立ち、草の実がちくちくと触る。
 橙、黄色、朱色に白、紫。
 小さな花々。
 金色はエノコログサの穂が孕む日の光。

 手放してきた懐かしいものたち。
 終わりはこんなにも美しい。


  ふところに入り日のひゆる花野かな 金尾梅の門


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9月はほとんど青空を見ないまま終わってしまいました。
大きな台風が、木をなぎ倒し、林檎や梨を振るい落として過ぎていきました。
さて、やっと青空…と思ったら、再び続くグズグズ曇り空。
壁の向こう側を、背伸びして覗き込むような気持ちで週間予報を見ています。
特にお出かけの予定はないのだけれど、お日さまマークが心底恋しいです。

我が家の裏手は空き地になっています。
いずれは宅地になるのでしょうが、もう暫くは広々とした眺めを楽しませてもらえそうです。
そういえばこの空き地、近所のツバメたちの幼稚園になていました。
子供ツバメたちが、大人たちに教わってグルグルグルグル飛び回っていたのです。
あのツバメたちも、いつの間にか旅立っていきました。
今年は空き地との境界に、ミゾソバ(溝蕎麦)の花がたくさん咲きました。
水路や湿地に群生する植物で、ソバに似ていることから、「溝(水路)に咲く蕎麦の花」と名付けられたようです。
名前はイマイチ地味ですが、可愛らしいピンクの花が咲きます。
母が「こんなに可愛い花だとは気づかなかったね」と、ちょいちょい摘んできては空き瓶に挿して飾っています。
金平糖みたい。
きっと、母がいなくなっても、この花が咲けば母を思い出すんだろうな。
…いえいえ、まだまだ元気ですけれど。


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年を重ねるごとに、「寒い冷える冷たい」が苦手になります。
普段まっったく運動をしないので、新陳代謝が落ちているのだと思いますが、とにかく体が冷えると途端に調子が崩れます。
なにより、冷えるととても悲しい惨めな気持ちになります。
ハラマキ(「ほぼ日」オリジナル。おしゃれな柄で嬉しくなります)と、小さな使い捨てカイロは、年間を通しての必需品。
どこか具合が良くないな、と思ったらとにかく温める。
そして、胃の動きが鈍いときは、白湯を飲みます。
大橋鎮子さん(「とと姉ちゃん」のモデルですね)のエッセイに、白湯の効用が書かれていたのです。
白湯が流れ込むと、喉から胃がじんわりあたたかくなって、お腹全体がホッと緩むのが分かります。
ありがたやありがたや…と、思わず呟きそうになります。
…嗚呼、こうやっておばあちゃんになっていくのですね。。
でも、秋冬はきれいな色のニットを着たり、ストールを巻いたりできるので、嫌いではないのです。
穏やかに、冬の準備を始めたいですね。


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by bowww | 2016-10-08 10:42 | 身辺雑記 | Comments(4)