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第七十二候 鷄始乳

 弟が泣きべそをかいて僕のところにやってきた。
 また何か失くしたらしい。
 学校の制服のリボンか、合唱団で使う新しい楽譜か、それとも散々ねだって買ってもらった三十六色の色鉛筆か。
「泣く前に、何を失くしたのか言ってみろよ」
 僕の問いにも首を横に振るばかり、とうとう本格的に泣き出した。
 ところが。
 涙はぽろぽろ零れるのに、声が聞こえない。
 …まいった。
 どうやら、声を失くしたらしい。

 こいつの面倒をみるのは、昔から僕の役目になっている。兄さんは今日も、さっさと図書館に行ってしまった。
 弟も弟だ。
 三人兄弟の末っ子で、普段は兄さんの後ばかりくっついて回るくせに、トラブルがあった時だけ僕の所へやって来る。
 今回もひとしきり泣いたら、けろりとした顔でおやつのクッキーを食べている。僕に伝えて、自分の仕事は終わったと言わんばかりだ。
 まったく、損な役だ。

 それにしても、早く探し出さないと来週のコンサートに間に合わない。
 僕らの街の合唱団は毎年、「春待ちコンサート」と銘打ってコンサートを開く。
 僕よりも小さな子供たちで構成されている合唱団は、夏休みに入る頃から練習を始める。
 街の伝統行事だから、指揮者や団員たちも気合いを入れて歌声に磨きをかける。毎年、聴きに行くのを楽しみにしている人たちも多い。
 弟は今年、ソロで歌うことになっている。
 ドジで甘ったれで泣き虫だけれど、歌声だけは僕でさえ聞き惚れてしまう。
 その大切な声を何処かで落としてくるのだから、本当に間抜けな奴だ。
 とにかく早く探しに行かなくちゃ。
 雪が積もったら余計に厄介だ。

 幸い、翌朝はキンと冷えた冬晴れ。
 布団に潜り込む弟を叩き起こし、着膨れた僕らは日の出とともに森へと出掛けた。
 水筒に熱い紅茶を入れて、あり合わせのハムとチーズでサンドイッチを作って、と、簡単な朝食を手早く用意したのは弟。
「ピクニックじゃないだろ」
「でも、お腹空いちゃうじゃん」
 と表情で答えると、彼は小走りで道案内を始めた。

 森は僕たちの街の西側に、緩く起伏を繰り返して広がっている。
 僕の遊び場はもっぱら学校や街の中心部だから、森の様子はちっとも分からない。
 隣の村へ続く大きな道をひとつずれると、すぐに大きな沼に突き当たる。
 そこで行き止まりのように見えるけれど、葦を掻き分けると道らしきものが対岸までぐるりと続いているのが分かる。冬になって葦は立ち枯れているから、身軽に進む弟を、案外簡単に追いかけることができた。
 それにしても霧が深い。
 一面、乳白色のフィルターがかかったようで、樹々の影が柔らかく滲む。息を吸う度に肺に入り込む細かな細かな水滴に、このまま溺れてしまいそうだ。
 前を行く弟の背中さえ、ゆったり波打つ霧に紛れていく。
 ちょっと心配になって声を掛けようとした時、いきなり弟が立ち止まった。
 声が聞こえる。
 弟の声だ。
 僕たちは顔を見合わせた。
 どうやら歌を歌っているらしい…のだけれど、あまりにたどたどしくて、聴き取るのに根気がいる。でも、これは多分、弟がコンサートで歌う曲の旋律だ。
 僕らは息を殺して辺りを見回した。
 そこは古い樫の木がある少し開けた場所で、腰掛けるにはちょうど良さそうな石が二つ、転がっている。沼からは離れているから、目の前を遮る葦もないし、湿気っぽくもない。
 弟の秘密のレッスン場だな、と見当がついた。此処なら邪魔されることなく歌の練習ができる。
 で、肝心の声の「拾い主」は何処にいるのかというと…。
 弟が樫の木の裏側で手招きをしている。
 そっと覗き込むと(その頃には歌は止んでいた)、小さな茶色の蛇がちょこんと頭を下げた。
 そして消え入りそうな声で「悪気はなかったんだ、ごめんなさい」と謝った。

 蛇の話はこうだ。
 いつも樫の木の洞(うろ)で弟の歌を聴きながら、一度でいいからあんな風に歌ってみたいと思っていたそうだ。
 梢にやって来る鳥たちでさえ歌うのに、どうして僕は歌えないんだろう。
 本当ならとっくに冬眠して、暖かい春まで眠っている筈だったのに、弟が此処で毎日歌っているからすっかり寝そびれてしまったのだと言う。
 そこへ、僕のドジな弟が声を落としてくれた。
「すぐに返そうと思ったんだけど、その前にちょっとだけ歌ってみたくて…」
 でも、歌い方が分からないんだ…と悲しそうに呟いた。
 僕と弟は、蛇のことが少し気の毒になってしまった。
 それに、声が凍らずに済んだのは、蛇のおかげでもあるわけだし…。
「じゃあお礼に、短い歌を教えてあげる。簡単だからすぐに覚えられるよ」と、声を返してもらった弟が言った。
 そして短い短いフレーズを歌ってみせた。
    小鳥なれば
    飛びて行かん
    君が御許(みもと)
 ようやく日の光が木立の中にも射し込んできた。東の空が朱鷺色に染まり、森全体がほっと息を吐いて目覚めていく。
 弟の声は細かな金の粉のように、きらきら辺りに舞い散る。日の光を乱反射する霧と溶け合ってしまいそうだ。
 小さな蛇は、じっと聴き入っている。そして、二度三度繰り返す弟の旋律に会わせて、静かに首でリズムを取った。
「兄さん、蛇に声を貸してあげてよ」
「えっ!」
「だってこれじゃあ教えにくいもの、ね?」
「……。」
 弟に続いて、僕の声で真剣に歌う蛇を、僕は何となく釈然としない気持ちで眺めた。
 小さな蛇がとても嬉しそうだから、文句を言えないけれど…。
 ほんと、損な役回り。
 手持ち無沙汰だから弟の持ってきた紅茶を飲もうとしたら、熱くて舌を火傷した。
 ああ、もう!!
 弟の頼み事なんて、二度と聞いてやるもんか!!


「兄さん、お願い!」
 弟がステージの袖でこっそり僕に渡したのは、あの茶色の蛇。
「どうしてもコンサートを聞いてみたいって言うからさ」
 きれいに支度を整えた弟が手を合わせる。
 出番まで五分もないから否応なし。
 僕は慌てて蛇を胸ポケットに押し込んだ。
 蛇はびょこんと頭を下げる。
 やれやれ…。

 弟のソロが始まる。
 伴奏のオルガンが止まり、ソプラノのパートが消え、続いてアルト、テナー、バスが静かになると、小柄な弟にスポットライトが当たっているように見えた。
 弟の透明な声が、広い講堂の隅々に流れていく。
 細いのに、思わず耳を澄ませてしまう声。高音部が僅かに顫えて、天上から射し込む光を思わせる。
 蛇がポケットから首を出して、じっと目を閉じた。
 やがて高みに昇りつめた弟の声に、すべてのパートが寄り合って、色鮮やかなタペストリーのような歌声が一度に広がった。
 僕も目を閉じて、音の洪水に身を任せた。

 コンサートは大きな大きな拍手で無事に終わった。
 さて、この小さな蛇をどうしたものか。
 弟たちの歌を存分に聴いて満足したのか、僕のポケットの居心地が好かったのか、蛇はウトウトと居眠りをしている。
 本来なら冬眠の真っ最中なのだから無理もない。
 森に返してやるにも、この寒さの中では凍えてしまうだろう。
 仕方がない、春が来るまで我が家で面倒を見るか。
 僕らの母さんは蛇が大の苦手だから、絶対に見つからないようにしなくちゃ。
 本当に、弟に関わると骨が折れることばかりだ。
「お前の箪笥の隅っこに入れておいてやったらどうだ?」
 兄さんがポケットを覗き込む。事情を知っているなら、もっと早くに協力してほしい。
「母さんがうっかり開けちゃったら大騒ぎになるじゃないか」
「オモチャだと言い張ればいい」
 兄さんなんか、当てにするものか。かといって、弟にだって任せられない。
 結局、損な役回りなのだ。
 僕は溜め息をついて、蛇の頭をチョンと突いた。

 春、冬眠から覚めた蛇が脱皮して、金色に変身したのはまた別の話。



〜鷄始乳(にわとり はじめて とやにつく)〜

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春の気配を感じた鷄が卵を産み始める季節。
まだまだ寒さが厳しくて雪も降ったりするけれど、日毎に強さを増す陽射しに、微かに春の兆しを感じ取る頃。
「春隣」という季語は、ちょうど今時分のことを指すのでしょうね。
海の旬は、真鯛などなど。
山の旬は、セロリ、ゴボウなどなど。
我が家ではセロリの葉の部分を細かく刻んで、甘辛の佃煮のようにして食べます。独特の風味と歯ごたえがしっかり残るので、大人味かも知れません。


さて、七十二候、一巡りしました。2月4日は立春、第一候「東風解凍」です。
一年経つのが本当に早いです。
私の作り話も、とりあえず、これで一区切り。
始めたときは、とにかく一年間、ちゃんと書き続けようと決めていました。
5日ごとの「締め切り」に追われ、書けずに明け方まで悶々とする夜も。。
でも、やっぱり、書くのは楽しいです。
ここで書き始めてから、自分の心にうまく風が通るようになった気がします。
時々頂くコメント、とても嬉しかったです。
誰かに読んで頂いて、ほんの一時、楽しい気分になってもらえたら…。
訪れて下さった皆さま、本当にありがとうございました。

今後もぽつんぽつんと気まぐれに更新できたら、と思っています。
もうすぐ春ですね。



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by bowww | 2015-01-30 09:54 | 七十二候 | Comments(6)

第七十一候 水沢腹堅

 寒晒し。
 すべての色彩を隠し持ち、時を待つ。


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〜水沢腹堅(さわみず こおりつめる)〜


川に厚く氷が張って、一年の中でも一番寒さが厳しい頃。
それでも今シーズンは、氷点下10℃以下までは記録していないので、まだマシかも知れません。
私の住む辺りの冬は、雪は比較的少なく、カラッとした晴天が続きます。その分、身ぐるみ剥がれたような感じで寒さに晒されます。
寒いのはもちろん嫌なのですが(年々つらくなる…)、空気が凛と冴え渡る風景はとても綺麗です。
朝日にキラキラと輝く雪や氷も、輪郭をくっきりと浮かび上がらせる遠くの雪山も、鉱物のように深い色を湛えた青空も、星を豪勢に煌めかせる夜空も。
花咲く春、風渡る夏、色づく秋、冴える冬。
春夏秋冬、ここに住んでいて良かったと思います。
…でも、大雪だけは勘弁。。

海の旬は、鮪、海じゃないけれどワカサギなどなど。
山の旬は、芽キャベツ(買ったことさえないです…)、ゴボウなどなど。
先日、スーパーで生海苔を買いました。お味噌汁に入れると、ふわっといい香りがします。
メカブも並んでいますね。これも株のまま茹でて刻むと、予め細かく切って売っているメカブとは別物の美味しさ。
先日は殻付き牡蠣を買ってきて、レンジでチンして頂きました。シンプルに美味しい。
海なし県に住んでいるため、海産物イコールご馳走なのです。
子供の頃は、生海苔なんてお店で見かけたことがなかったですから、流通の発展に感謝です。


次回は1月30日「鷄始乳」に更新します。
ラストです。



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by bowww | 2015-01-25 09:52 | 七十二候 | Comments(2)

第七十候 款冬華

 あの頃と同じだな。
 僕よりほんの少し、一呼吸分、先を歩く彼女の肩を横目でちらりと窺う。
 高校生の頃より、だいぶ肩が薄くなった。後ろ姿がすっきりときれいになった。
 そう言うと、彼女は振り返ってからかうように笑った。
「そんなことも言えるようになったんだね」
「ま、それなりに経験積んだからね」
 あの頃、もっと軽やかに言葉が出ていたら、彼女との関係も変わっていただろうか。
 もう一軒、付き合わない?
 さらりと言えばいいものを、肝心なところで言葉は僕の喉にひっかかる。
 高校生の頃から大して成長してないじゃないか。
「まだ時間ある?お茶でも飲んでいこうか」
 彼女が言った。
 僕はコートの袖をちょっとめくり、腕時計を見て、「うん…大丈夫そう」と答える。
 彼女はまた笑った。
「そういうところは、相変わらずね」
「どんなところ?」
「独特なテンポ。小さな時間稼ぎをするの」
 返す言葉を探しているうちに、駅に着いた。

 高校を卒業して二十年、初めて同窓会に出席した。
 仲が良かった奴らとは数年に一度は会って飲んでいたし、懐かしい先生も特にいないから今まで出席したことがなかったのだ。
 二十年の節目だからという訳でもないが、案内はがきの幹事の欄に、彼女の名前を見つけて出る気になった。
 彼女の名字の後に(旧姓・○○)とある。
 僕自身は六年前に結婚して、子供も二人いる。彼女も結婚したということが分かったから、行く気になったのかも知れない。
 お互いに安全圏に入ったのなら、気兼ねなく挨拶できるだろう。


 彼女とは三年間、同じクラスだった。
 二年生のとき、彼女から告白された。
 それまでは特に意識したこともなかったのに、僕の前で真っ赤になって話す彼女を見て、初めて可愛いと思った。
 目立つような美人ではないけれど、笑顔がいい。彼女が笑うと、こちらまで幸せな気持ちになる。
 しっかり者で明るく、同級生たちから信頼されていた。
 僕はどちらかというと教室の隅にいるタイプの生徒で、決して明るくはなかった。
 ただ、顔立ちが何とかいう俳優に似ているそうで、話したこともない後輩の女子数人から、誕生日やクリスマスにプレゼントをもらったことがあった。
 それは僕の気を良くしたけれど、実際のところは、容姿にしても性格にしても成績にしてもコンプレックスの塊だったから、素直に喜べなかった。
 彼女に、僕のどこが気に入ったのか聞いてみたことがある。
 彼女は「顔」と即答した。
 「いつもかっこいいなぁ、て思ってたの。で、もっと笑わせてみたくなったんだ」
 照れもせずに言い切った彼女は、ニッと笑った。
 僕たちは放課後、近くの公園で待ち合わせた。
 大概、僕が彼女を待った。
 彼女は足早にやって来ると、決まってホッとしたように笑う。
 僕はその瞬間が好きだったから、彼女を待っていたのだと思う。
 並んで歩くのは照れくさい。
 でも、お互いに部活や塾で忙しくて、二人で過ごす時間が貴重だったから気にしていられなかった。
 彼女はいつもほんのちょっと前を歩く。何か話すときは、少し振り返るようにして僕を見上げる。
 二人で居ると、ほとんど彼女が喋っていた。
 本当は何か気の利いた返事をしたかったのだが、考えているうちにタイミングを逃してしまう。
 考えているうちに上の空になって、彼女によく叱られた。
 付き合い始めて半年たった頃だと思う。
 昼過ぎにちらつき始めた雪が、夕方になって本降りになった。
 いつもの帰り道は白く染まり、街路灯や通り過ぎる車のライトに照らされた雪が青白く光る。
 見慣れない景色に、二人ともはしゃいでいた。
 彼女が傘を忘れたから、相合い傘で雪道を歩いた。
 二人の歩幅が揃って肩が並ぶ。
 今だったら手を繋げるのに、あいにく僕の右手は傘でふさがっている。
 密かに溜め息をついた。息が白い。
 傘の中が急に静かになる。
 彼女は左手の手袋を外すと、僕の右手に重ねた。
「冷たくなっちゃったね」
 僕はなんて答えたのか、思い出せない。
 

 同窓会は盛況だった。
 僕が彼女を見つけるより早く、彼女が僕の名前を呼んだ。
 彼女は会場を回って世話を焼いていた。
 人垣の向こうで、あの笑顔で手を振っていた。
 目尻に少し、皺が増えただろうか。
 それでもほとんど変わっていない。むしろきれいになった。
 同窓会がお開きになるまで、彼女と話す機会はなかった。
 挨拶できただけ良かったと帰ろうとすると、彼女が後を追ってきたのだった。
 駅ビルの喫茶店で向かい合ってコーヒーを飲む。
 とりとめなく互いの近況を報告する。
 彼女は一昨年結婚して、男の子のママになったと言う。
「高齢出産だったから、大変。産むより育てるのが体力勝負なのよね」
 そう言う彼女は幸せそうで、心から良かったと思う。
 会話が途切れ、窓の外を眺める。
 雪が降り出した。
「相変わらず男前だったから良かった。お腹出ていたらがっかりだなって思ってたの」
「中身も相変わらず、なんだろ?」
 コーヒーカップを手に、彼女はくつくつと笑う。
「いっつも私に決めさせるんだもん。告白したのも私だし、デートで行く映画も、食事の場所も、私が決めたもんね」
「俺が口出す暇がなかったじゃん」
「おしまいも、私に決めさせたよね」 
 あの雪の日の後、なんとなく気まずくなって、うやむやになっていった。
 彼女がきっぱりと、「もう、おしまいにしよう」と宣言してくれたとき、寂しさと同時に開放感も感じたことを思い出す。
「…ずるいな、俺」
「そ。ずるかったね」
 雪がみるみる景色を染めていく。

 改札口を抜けようとすると、彼女が立ち止まった。
「私の電車はもう少し後だから、見送ってあげる」
 僕は、「じゃあ」と手を振って改札を抜けた。
 振り向くと、彼女が立っていた。
 笑顔が一瞬、泣きそうに歪む。
 僕の足が止まる。
 今度は、僕が決める番だ。



〜款冬華(ふきの はなさく)〜



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二十四節気は大寒、寒さの底です。
款冬は蕗の花、フキノトウが顔を出す頃ということですが、実際のところはまだまだですね。
私の住む辺り、今年はまだ大雪にはなっていません。
このまま春になってほしいけれど…そうは上手くいかないだろうなぁ。

海の旬は、ブリ(一度は食べてみたい美味しい鰤しゃぶ)などなど。
山の旬は、百合根、蜜柑などなど。


次回は1月25日「水沢腹堅」に更新します。


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by bowww | 2015-01-20 09:04 | 七十二候 | Comments(0)

第六十九候 雉始鳴

【前回からの続きです】


 その展示スペースに入ると、今までの華やぎがいきなり影を潜めた。
 キャンバスに叩きつけられた油絵具が、テラテラと光る。
 これは、抽象画だろうか。
 一面の群青が罅割れて、そこから赤や黄、青といった原色が滲み出ている。
 …ようにしか、私には見えない。
 首を傾げながら三歩ほど後退し、何か浮かび上がってくるのではないかとその絵を見つめる。
「どうだ、こっちの方が面白いだろう」
 さきほどの老人が再び現れた。
「…分かりません。私、素養がないので抽象画は分かりません。ちっとも面白くありません」
 私は半ば自棄になってそう答えた。
 老人は愉快そうに笑った。
「それでは、こっちの絵は?」
 ステッキの先で、隣の大きな絵を指す。
 こちらは真っ黒。パレットナイフで引っ掻いたのか、一面に傷跡が残り、その上にやはり原色の絵の具が飛び散っている。
「この絵を描いた人は、何が気に食わなかったんでしょうね」
 老人は黙った。
 私はその隙に、足早にほかの絵を見て回った。
 小さなキャンバスが多い。だが、どの絵にもドロドロとしたエネルギーが滾っている。
 見ている者を引きずり込んで、不安や苛立ちを無理矢理共有させる力強さ。
「…こいつは将来を嘱望された画家だった。地方の貧しい農家の倅だったのが、東京から流れてきた画家の手ほどきを受けて、みるみると頭角を現した。いくつかの展覧会で入賞したことで舞い上がって、故郷を捨てて上京した」
 見渡すと、絵を習ったばかりの頃のデッサンも数枚、展示されていた。
 訳の分からない抽象画ではなく、端正な線で静物や人物を描いている。
「間もなく戦争が始まり、売れ出したばかりのこいつは国策に乗って、戦争画を描きまくった。なかなか評判が良くて、従軍画家として戦地に送り込まれそうになったんだが、臆病風を吹かせて逃げおった。
 戦意高揚のために描いた画家たちは戦後、世間から断罪されて惨めな目に遭ったことを思えば、逃げて正解だったのかも知れないがな…」
 老人の昔語りは訥々と続く。
 この画家は戦犯扱いされることは免れた。
 しかし、戦争中に受けた「臆病者」のレッテルのために画壇からは見捨てられ、世間からも忘れ去られたという。
「よくある話だ。そうやって消えていった画家は砂粒よりも多いわ」
 老人は乾いた笑い声を上げた。
「それでも、描くことは止められなかったんですね」
 私は一枚の絵の前に立っていた。
 制作年数を見ると、「昭和四十二(1967)年」とある。
 題名はない。木炭で走り描きされたデッサンだ。
 母娘だろう、手をつないで、母親は空を見上げ、幼い娘はこちらに駆け出してこようと身構えている。
 シンプルな線だけで一瞬の動きや、母娘の表情まで描きとめていた。
「ご家族がモデルかしら」
「…貧乏画家の常で、こいつも家族を散々苦しめた。妻はそれでも売れない画家を支え続けたんだが、とうとう辛抱しきれずに一人娘を連れて家を出た」
 壁に貼られた画家の年表を見ると、母娘を描いた翌年に亡くなっている。
 出て行った妻と娘を思い出して描いたのか、それとも大きくなった娘が、孫を連れて訪ねてきたのか。
「凡庸な絵だ」
 老人は吐き捨てた。
「私は、それでもこの絵が好きです。誰かを想って描いているから」
 不遇の画家が晩年、こんな絵を描けていたのなら、見ているこちらも救われたような気持ちになる。
「ふん、これまた凡庸な感想だな」
 そう言って老人は背を向けた。
 黒いコートがユサッと揺れた。
 私も絵の前を離れ、出口の方へ向かった。
「…娘と孫さ」
「え?」
 聞き返そうと振り向くと、老人の姿は消えていた。

 画廊のオーナーを名乗る初老の男性に声を掛けられた。
「熱心にご覧になっているものですから。こちらの作品がお気に召したのなら、詳しくご案内いたしましょうか」
 私は「もう帰りますので」と辞退した。
「ご本人からレクチャー受けましたので」とは、もちろん言えなかった。




〜雉始鳴(きじ はじめて なく)〜



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私の通った大学は、山を切り開いた谷間にあるような小さなキャンパスでした。
街全体が大きな下宿のような、学生のためにあるような街でした。
住んでいたアパートも山の斜面に建っていて、良く言えば自然豊か、平たく言えば田舎の真っ只中でした。
ゴミを出しに行くと、雉の夫婦とよく出くわしたものです。
時々、「ケーンケーン」という鳴き声を聞きましたが、あれは雉だったのかどうかは分かりません。

海の旬は、タラ(お鍋の定番ですが、火を通しすぎるとボソボソになりますよね)などなど。
山の旬は、水菜などなど。

一昨年だったかな、くだらないことで気持ちがささくれて、そこがグズグズと膿んだような状態が暫く続きました。
そんな時、東京の山種美術館で「百花繚乱」と題した展示会に行きました。
本当に百花繚乱、花々が咲き乱れる展示会でうっとりしながら鑑賞していましたが、速水御舟の「名樹散椿」の前で動けなくなりました。
圧倒的な美しさでした。
金地を背景に、うねる老椿の幹、執拗なまでに描き込まれた幾多の椿、深緑のビロードのような苔に散りかかる桃色の花弁。
好きとか嫌いとかすっ飛ばして、美しいものの果てしない力に打ちのめされたのだと思います。
幸運なことに、私がこの絵が展示されている小さな部屋に入ったとき、ほかに誰もいなかったので暫く独占できたことも良かったのかも知れません。
贅沢な時間を貰いました。
この絵を見てから、少しずつ少しずつササクレが治まっていきました。
パワーを分けてもらったのかなぁ。
以来、息切れし始めると、展示会へ出掛けるようにしています。


次回は1月20日「款冬華」に更新します。
残り3回となりました。
なんとかゴールにたどり着きたい…。

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by bowww | 2015-01-15 03:31 | 七十二候 | Comments(0)

第六十八候 水泉動

 ビルの間を吹き抜ける風が冷たい。
 手袋を持ってくれば良かった。
 私はコートのポケットに手を突っ込み、首をすくめた。
 クリスマスや正月が終わり、街はどこか、間が抜けたような顔をしている。
 冬の午後はすぐに暗くなる。自分の影が長く伸びるのを見れば気が焦る。
「…別に急ぐこともないか」
 夫は帰りが遅い。
 一昨年、社会人になった娘も、今夜は残業になりそうだと言っていた。
 私一人なら、夕飯の準備も必要ない。冷蔵庫の中にあるもので済ませておく。
 足取りを緩めたとき、小さな画廊の「春の小品展」という看板が目についた。
 春という言葉に誘われ、画廊の中をガラス戸越しに覗き見れば、数人の客が作品を眺めていた。
 これだけ人が居れば、私一人にうるさく購入を勧めたりはしないだろう。
 私は気まぐれに足を踏み入れた。
 綺麗なものを見てみたくなった。

 店内は暖かく、ジャズが低く流れていた。
 私はほっと息をついて、ポケットから手を出す。
 画廊の女性スタッフに会釈をして、ゆっくりと作品と作品の間を巡った。
 個展ではなく、数人の作家の作品を集めた展示らしい。「春」にちなんだ作品も多い。ほころびかけた梅をさらりと描いた水墨画や、花瓶から溢れるように咲くミモザの花の水彩画、淡い桜色が滲む茶碗は萩焼だろうか。
 美術に詳しくない私でも、見ているだけで気持ちが浮き立ってくる。
「退屈」
 いきなり背後で声がした。
 びっくりして振り返ると、ぞろりと長い黒いコートを着て、ステッキをついた老人が立っていた。
 枯れ枝のような体にコートが重そうだ。
 驚いた私の顔を見て、にやりと笑うともう一度、
「退屈」
と言い放った。
 かなり大きな声だったのに、ほかの人たちはこちらを見向きもしない。
 係わり合いになるのが嫌で、見ないふりをしているのだろう。
 私も無視して、次の作品(芽吹いたばかりの森を描いた風景画)の前に移動した。
 ところが、老人は私と歩調を合わせてついてくる。
「…のっぺりした絵だな、深みがまるでない」
 これまた遠慮なく言い出すので、私の方が慌ててしまう。
 少しでも老人と距離を置きたくて、わざと数作品飛ばして、ガラスの器のコーナーに移った。
 繊細なカッティングが施されたグラスや皿が、光を反射して美しい。
「実用性ゼロだ。工芸品は使ってみたいと思わせなきゃ無意味だ」
 このおじいさん、あちこちの画廊を徘徊して文句をつけるクレーマーなんだろうか。
 私は腹に据えかねて老人を睨みつけた。
 相手は益々、上機嫌だ。
「もっと面白い作品が向こうにあるぞ」
 そう言って、ステッキで「向こう」を指し示した。
「案内するぞ」
 もちろん、私は小さく「結構です」と答えて、逆方向に歩き出した。
 さすがに老人もついては来なかったが、一通り見て回ると、彼の言葉が気になった。
 ちらっとだけ見て帰ろうと、展示スペースが区切られ、小部屋のようになった場所に向かった。

【次回に続きます…】   


〜水泉動(しみず あたたかを ふくむ)〜


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寒さの最中です。
ここ連日、朝は氷点下5℃ぐらいまで冷え込んでいます。結露した窓に、氷の華が咲きます。
それでも、地中の水は僅かに温かさを含んで動き出す季節。
確かに夕方、日が長くなってきたと実感できます。
本当に冬至が過ぎると違うものだなぁ。
このまま、どうか大雪が降らずに春を迎えられますように。

海の旬は、シジミ(…は、淡水に棲むんですよね?海ではないですね)などなど。
山の旬は、ブロッコリーなどなど。
ブロッコリーの旬は冬なんですね。年間通じてあるから知らなかったです。
お弁当の緑で大活躍。
あのこんもりした部分は、小さな蕾が集結したものなんですよね。
何千もの蕾を惜しげもなく食べてしまっている、と思うと、なんとなく罪深い気持ちにならなくもない…。

11日は鏡開き。お正月に供えたお餅を「お下がり」として頂く日。
以前は、私が勤めている会社でも大きな大きな鏡餅を飾りました。
黴びてカピカピになった餅を、総務のお姉さんがカチ割って、ほぼ一日かけて揚げてくれたものです。
出来たてのアラレ、美味しかった。
今では、時間的にも人の気持ちにも、そんな余裕がなくなってしまいました。
…と、会社の歴史を語れるぐらいは、年を重ねたということですね。
媼の昔語り…。


次回は1月15日「雉始鳴」に更新します。





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by bowww | 2015-01-10 10:00 | 七十二候 | Comments(0)

第六十七候 芹乃栄

 正月休みが終わって仕事に出掛け、家に戻ると出し損ねた相手から年賀状が届いていた。
 慌ててこちらも、予備にと買い置いてあった年賀状をしたためる。
 さて、これで明日の朝、出勤途中にポストに放り込めばギリギリ松の内に届くだろう。
 暮れに用意した正月用の酒が、まだ少し残っている。
 こちらも松の内に片付けねば…と、つい一杯。
 そうそう、ちょっと値が張るシングルモルトを買っておいたのだ。
 チョコレートと一緒にデザートに。
 …などとやっているうちに、すっかり良い気分になってしまった。
 ふと、書き上げた年賀状が目に付く。
 僕の性格からして、慌ただしい出勤前に葉書を忘れずに持って出るかどうか、かなり疑わしい。
 忘れる可能性の方が断然高い。前科も多々ある。
 それなら、今夜のうちに投函しておけばいいじゃないか。
 家からポストまでは歩いて五、六分。
 酔った弾みだろう、僕は再びコートを着込んでマフラーを巻いて表に出た。

 満月が近い。青みがかった月光が、寝静まった家々を照らし出している。
 酔いは、刺さるような寒さで吹き飛んだ。
「やっぱり明日にすれば良かった…」と空を仰ぐと、月が明るいのにも関わらず、たくさんの星が瞬いている。
 空の天上が抜けて、宇宙の底に直接触れているような寒さ。
 僕のアパートのある住宅街は、昔からの集落の隣に造成された場所で、少し歩けば田んぼや畑が広がっている。
 だから殊の外、空は澄んで見えるのだ。
 僕はコートのポケットに手を突っ込んで、ポストがあるタバコ屋まで急いだ。

 タバコ屋はもちろんとっくに閉店していて、店先の自動販売機だけが明るい。
 自販機の光に、四角い郵便ポストが浮かび上がる。
 ポケットから年賀状を取り出して投函しようとすると、先客がいることに気がついた。
 小さな男の子だ。
 一生懸命に伸び上がっているのだが、投函口になかなか手が届かない。
 僕は、小さく「手伝おうか」と声を掛けた。
 男の子はびっくりしたように振り返り、まず首をブンブン横に振って、すぐにコクコクと頷いた。
 僕は男の子から葉書を受け取ると、自分の年賀状と一緒にポストに入れた。
 カサカサコトン。
 男の子はまん丸の目で僕を見上げて、やっぱり小声で「ありがとう」と言った。
 顔が埋もれるくらいフワフワな毛皮のマフラーは、お母さんの物を借りてきたのだろうか。
「夜遅いから、お家まで送っていこうか?」
「ううん、大丈夫。すぐそこにお母さんが待っているから」
 では、あまりお節介を焼いていると、悪い人に思われてしまう。
 それでも、男の子があまりに人懐っこい風で僕を見つめるので、
「誰にお手紙出したの?」と尋ねてみた。
 男の子は嬉しそうに
「お父さん。お父さん、鎮守さまをお守りする係だからずっと留守にしてたの。
 もうすぐお仕事が終わるから『早く帰って来てね』って書いたんだ」
 と答えてくれた。
 鎮守さま?
 その時、向かいの公園で「ケーン!」と鋭い鳴き声がした。
 男の子は「ありがとうね」ともう一度言うと、公園の中へ駆けていく。
 お尻の辺りで、フサフサの金色の尻尾が元気に揺れていた。



〜芹乃栄(せり すなわち さかう)〜



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二十四節気は小寒。寒の入りです。
1月7日は七草粥を頂く日、芹は春の七草の一つですね。
せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草。
春の七草は、そらで言えます。でも、実物を全部見たことはありません。
スーパーで売っている七草セットには、全部ホンモノが入っているのかしら。
なにせ、我が家の両親は「お粥?いらないいらない。胃薬飲めばいい」という情緒もへったくれもない二人なので、昔から七草粥を食べたことがありません。
確かに…丈夫な時にお粥を食べても美味しいとは思えないかな。
でも、お腹を壊したり熱を出したりした後で、やっと口に出来るお粥は、五臓六腑に染みるような気がしますよね。
海の旬は、カサゴ、ムール貝などなど。
山の旬は、カブ(すずな、ですね。すずしろが大根)などなど。
昨年、美味しい小料理屋さんで国産の新鮮なムール貝を食べさせてもらいました。
シンプルな潮汁風のスープにしてもらったのですが、旨味と風味にびっくり。
パエリアなんかに乗ってくるムール貝は、貝殻ばかりが立派で身はシオシオと縮こまっているので、美味しいというイメージがなかったのです。
新鮮なものは、やっぱり美味しいんですね。
カブは浅漬けが一番好きですが、鶏肉と一緒にミルクスープにしても美味しいです。

時々、近所でキツネを見かけます。
近くのお宮の森に、一族が棲み続けているようです。
夜、車を運転していると、何かが道を横切ります。
野良犬かな?と思ってよく見ると、見事な尻尾をなびかせて走り去っていきます。
会えると、ちょっと嬉しくなります。


実は私、新年早々に家の中で盛大な尻餅をつきまして、未だに体のアチラコチラが痛くて困っています。。
一部始終を見ていた弟が「笑いたいけど笑えないけど笑いたいけど、やっぱり笑えない」と言ったぐらい、それはそれは見事な尻餅だったようです。
念のため、レントゲンを撮ってみましたが、尻尾は無事でした。
そんなこんなで、新しい写真を仕入れることができず、かなり昔のものを引っ張り出してきました。ごめんなさい。
波乱の2015年幕開け…。
これで今年一年分の厄を落としたと思いたい…。


次回は1月10日「水泉動」に更新します。

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by bowww | 2015-01-06 09:48 | 七十二候 | Comments(1)

第六十六候 雪下出麦

 「それ」は あまりに小さく 弱々しい
 凍えきって みじめに震えている
 
 もう嫌だ もう嫌だ もう嫌だ

 叫ぶことさえかなわない
 忘れ去られ 闇の底に踞っている

 もう嫌だ もう嫌だ もう嫌だ

 光
 光の鞭
 闇を裂き 「それ」を打ち据える
 圧倒的な力

 疼く
 耐えかねて
 呻く
 身じろぐ
 仰ぐ
 
 光!
 
 「それ」は立ち上がる
 自分の血の匂いを頼りに
 
 「それ」は あまりに小さく 弱々しい
 だが
 もう震えてはいない



〜雪下出麦(ゆき わたりて むぎいずる)〜



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一陽来復、新玉の春でございます。
あけましておめでとうございます。
本当の春はまだまだ先ですが、ほんのほんの少しずつ、太陽が力強さを取り戻しつつある季節です。
一面の雪の下、麦の芽が春の準備をしている季節。
今年はどうか、穏やかな年になりますように。

海の旬は、エビなどなど。
山の旬は、慈姑(食べたこと、あったかなぁ)、金柑(初めて生で食べた時は感動しました)などなど。
年の暮れのスーパーは、お正月の準備をする人たちでごった返します。
カートいっぱいにあれこれ買い込んで、家族と賑やかに買い物をする人たちを見ると、「ああ、ご親戚が集まるんだな」「子供たちが孫を連れて帰って来たのかな」などと思います。
私の住む地域は、帰省客を迎える土地柄=田舎なので、年末年始は「人が大勢いる」というイメージなのですが、都会は逆に閑散とする季節なのでしょうか。
私の両親は共に末っ子ですので、盆暮れ正月にお客さんが来る家ではありませんでした。
そして家のお正月の風習も、特に受け継がれていないため適当です。
お正月料理は、黒豆(私が社会人になってから作り始めた)、きんとん(毎年、試行錯誤)、酢れんこん(私と父親の好物なので大量に)、煎り鶏(これもここ数年)、ニシンの昆布巻き、数の子とスルメの醤油漬け(この2品も皆の好物なので大量)ぐらいです。
自分たちの好きな物だけを作って並べています。
ただ、今年はもうすぐ引っ越すため、かなり手を抜きました(きんとん、昆布巻きは買ってしまった)。
お雑煮は関東風、なのかな。
すまし汁仕立てで、貝柱の缶詰を汁ごと使うのが我が家流かも知れません。
弟夫婦がチビ助を連れて帰って来たので、賑やかなお正月です。


新年、今年の目標を掲げたくなるのですが、いっつも「言ってみただけ」になってしまうので控えます。
ただ、もうイイ年ですので、体のメンテナンスをきちんとしようと思います。
(年の瀬に、軽く突発性難聴を発症してしまった。。耳の奥に水がたまっているような気持ち悪さ。。)


次回は1月6日「芹乃栄」に更新します。

 
 

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by bowww | 2015-01-01 14:59 | 七十二候 | Comments(2)