第十六候 葭始生

 せせらぎ。
 木漏れ日が水面で跳ねる。
 水草が揺れる。
 鳥が鳴く。
 草の匂い。

 少女の歌声。

 流れゆくオフィーリアに、
 捧げる花を摘んでおこう。



〜葭始生(あし はじめて しょうず)〜

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二十四節気では穀雨です。
大地を潤し、万物を育む雨が降る季節。
お日さまの陽射しが嬉しい季節ですが、優しい雨が降った翌日は、芽吹いたばかりの緑がひと際きれいです。
葭の芽吹きを「角(つの)ぐむ」と表現します。
去年の枯れた葭の根元から、早緑の芽がツンツンと見え隠れしている様なのでしょうか(実際に見たことがなくて…)。
若芽を「葦牙(あしかび)」とも言うそうです。
海の旬はメバル、鯵などなど。
山の旬は、新ゴボウなどなど。そろそろ筍も出回り始めます。


先月、東京で観てきた「ラファエル前派展」の中でも、やはりミレイの「オフィーリア」は、特に魅力的な一枚でした。
シェイクスピアの戯曲「ハムレット」。主人公・ハムレット王子の恋人のオフィーリアは王子の豹変ぶり(=復習のために狂人のふりをしていた)に心を痛めます。その上、王子に自分の父親を殺害されるという悲劇にも見舞われ、とうとう気が狂ってしまうのです。
野の花を摘んでいるときに足を滑らせて川に落ち、歌いながら溺死していくという…。
ミレイは、オフィーリアの最期を描いています。
絵の前に立つと、オフィーリアの切れ切れの歌声が聞こえてきそうでした。


次回は4月25日「霜止出苗」に更新します。
春が終わる前に、今年の桜をまとめてみたいと思ってはいるのですけれども…。





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by bowww | 2014-04-20 09:45 | 七十二候 | Comments(2)
Commented by mofu903 at 2014-06-10 02:00
こちらにも失礼します。
ミレイの「オフィーリア」について書いておいでなので、嬉しくて、つい。
この不思議な魅力に満ちた絵に出会ったのは、はたちのころでした。
「ハムレット」の文中では、確か、オフィーリアはスカートが膨らんだドレスを着ていて、そのためにすぐには沈まずに・・・というくだりがあったように覚えています。
どういうわけか、私にはそれがなんともやるせなくて。
小暗い川面、oriさんがおっしゃるように、切れ切れの歌声が聞こえそうと、私も思っていました。
もう一度この絵に向かい合いたくなりました。

Commented by bowww at 2014-06-11 15:27
ジャレットさま。
私もそのくだりが印象的でした。
哀しくて美しい場面ですよね。
細密に描かれた草花も美しくて、展覧会を全部見終わった後に、もう一度、この絵の前に戻ってきてしまいました。
解説によると、ミレイの絵のモデルは後の妻であるエリザベス・シダルで、この絵のためにバスタブに浸かってポーズを取ったのだとか。
そして風邪をひいてしまったのだとか。
…画家の恋人になるのは大変そうですね…。


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